「窓の向こう側」では、Atmophがお届けしている景色に関するちょっとした豆知識や、景色にまつわる様々なエピソードをお届けしています。今回は、どんな景色に出会えるのでしょうか?
フランス・パリの観光名所として有名な、ノートルダム大聖堂。フランス語で「我らが貴婦人」という意味を持ち、1163年に建設が始められてから、ずっとパリの市民を見守っています。全長128メートルというかつてない大きさの大聖堂は、12世紀当時「西洋最大のカトリック教会」とみなされました。1991年にはユネスコの世界文化遺産としても登録されています。

大聖堂は、850年の歴史の中でさまざまな祝賀行事や記念式典に携わってきました。ジャンヌ・ダルクの復権裁判や、ナポレオン・ボナパルトの戴冠式など、歴史上の人物とも多くのゆかりがあります。また、パリから各地への距離を表すとき、ノートルダム大聖堂の前が起点となっていることからも、パリの街に深く関わりをもっていることがわかるでしょう。
1831年には、ヴィクトル・ユーゴーがノートルダム大聖堂を舞台にした『ノートルダム・ド・パリ(ノートルダムの鐘)』を出版しました。この作品は小説だけにとどまらず、ディズニーによるアニメ映画やオペラ・バレエ・ミュージカルとなり、現在も世界中の多くの人に愛されています。

そんなノートルダム大聖堂を、ある時悲劇が襲います。2019年4月15日の夕方、大規模火災が発生し、屋根の尖塔が崩落してしまいます。パリの街とともにあった歴史的建造物が炎に包まれたとき、パリ市民は周辺に集まってアヴェ・マリアを歌いながら、時には跪いて涙をこぼしながら、消防車が通ると喝采を送り、鎮火を祈りました。

この火災について、日本でミュージカル『ノートルダムの鐘』を上演している「劇団四季」は、「被災された大聖堂の皆さま、パリ市民の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます」と前置きし、「『ノートルダムの鐘』を大切な作品として愛しています。その舞台で起こったこのたびの悲しい出来事に、出演者・スタッフ一同、深い衝撃を受けております」「一日も早い復興をお祈りいたします。大聖堂の荘厳な鐘の音が、平穏なパリの街に響きわたる日常が一刻も早く訪れますように、心から願っております」というメッセージを、上演劇場内に張り出しました。

Atmoph Windowでは、ありし日のノートルダム大聖堂の姿を見ることができます。偶然にもAtmophは、創業当時からフランスに縁が多く、「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」という展示会に4~5回ほど参加や出展をしていました。パリを始めドイツ・イタリア・ドバイなど多くの顧客やユーザーとも出会ったのもこの展示会がきっかけです。彼らはAtmoph Windowに関して、「ホテルのロビー、クリニック、オフィスなどに展示し、美しく優雅な空間を演出したい」「風景に時計や天気だけをシンプルに表示していてスタイリッシュ。これぞ「禅」といえる」といった多くの声を寄せてくれました。
その際、見かけたノートルダム大聖堂は、威風堂々とした歴史を感じさせ佇んでいました。セーヌ川の川べりを散歩したり、シャンゼリゼ通りのカフェでコーヒーを飲んだり、時には街中でダンスをしたり、自由なパリ市民や観光客を、ずっと温かい目で見守るように。

2019年の火災直後、5月16日。Atmophの姜は、展示会の出展のためパリを訪れ、その際に火災後の大聖堂を目にしました。Atmophにとって、何度も訪れた思い出の景色であり、何度も直接みていた建物なだけに、ショックを隠しきれませんでした。周囲を歩く市民や観光客の表情も、残念そうに映ります。しかし、既に大聖堂の再建はスタートしており、フランスが「このパリの象徴の一つを守り切る」という覚悟をひしひしと感じました。

大聖堂の中には、歴史図がたくさん収蔵されています。大聖堂自身も、たくさんの改装・増築を経て現在の大きさに成長してきました。どこか、小さな聖堂が市民たちの手で大きくなったという誇りすらも感じます。今回の火災も市民の力で乗り越える、というパワーをもらえるような気がしました。
今回紹介した景色はこちら。
https://atmoph.com/ja/views/pages/notre_dame_de_paris_2