窓の向こう側―近くて遠い国、韓国

「窓の向こう側」では、Atmophがお届けしている景色に関するちょっとした豆知識や、景色にまつわる様々なエピソードをお届けしています。今回は、どんな景色に出会えるのでしょうか?

「韓国」といえば、何を思いつきますか?アイドル・韓流ドラマ・韓国コスメ……今や韓国はポップカルチャーの一大産地となっています。ソウルには山ほどの人があふれ、その誰もがおしゃれな服をまとい、街頭ビジョンにはTWICEやITZYなど流行のアイドルグループが流れて、フォトジェニックなスイーツに長蛇の列が並ぶような、文化の最先端を行く場所です。今回ご紹介するのは、そんな韓国のもう一つの面です。

ザハ・ハディド設計の東大門デザインプラザ(ソウル)

ソウル中心部に「北村韓屋村(プッチョンハノクマウル)」と呼ばれるところがあります。現代的なソウル駅からはやや離れた位置にあり、朝鮮王朝の正宮である景福宮・昌徳宮そして宗廟(朝鮮王室の王や王妃を祀った霊廟)に囲まれている場所を指します。特に北村韓屋村が有名なのは、「韓屋(ハノク)」という韓国の伝統的家屋が残っているエリアであること。『梨泰院クラス』に出てくるようなにぎやかなソウル市街に比べ、『冬のソナタ』や『紳士の品格』から見られるように、北村韓屋村からはどこか落ち着いた雰囲気を感じられます。また、伝統的な建築物が見られたり、韓国の伝統文化が体験できることもあって、観光客に人気のエリアの一つです。韓屋を利用したアトリエやショップもあり、古き良き文化と新しい文化が入り混じるエリアとも言えるでしょう。日本で例えると、京都や奈良のような場所です。

韓国ドラマや映画で、韓屋をご覧になったことがある方も多いと思います。実際に北村韓屋村を歩いてみると、瓦ぶきの屋根ばかりが目につくことでしょう。これは昔、北村韓屋村に王族や両班(ヤンバン)と呼ばれる当時の貴族階級の人たちが住んでいたためです。韓国では、瓦ぶきの屋根は上流階級にしか許されませんでした。一方庶民の住居は、断熱効果があり実用的な藁ぶきの屋根が使用されていました。また、年長者を敬う儒教の精神が強い韓国。王族や両班の住居では、身分・性別・長幼によって住居スペースが分けられています。

そして、夏は涼しく冬は暖かい構造とするため、地面からの湿気を遮断する板の間(マル)と、煙を利用した「オンドル」と呼ばれる床暖房をバランスよく組み合わせています。壁や屋根・床には湿度調節機能・寒暖調節機能のある土を使うことで快適な空間を作り、韓紙(ハンジ)と呼ばれる紙を貼ることで、隙間風や日差しを防ぎます。自然に優しく、どんな季節でも過ごしやすいのが韓屋の特徴とも言えるでしょう。

そんな韓屋が立ち並ぶ北村韓屋村の中には、文化財や民俗資料に指定された建築物も多数存在します。「北村八景」と呼ばれる写真スポットや、口コミで人気のカフェなどもあり、のんびり散歩するにはこれ以上ない場所ではないでしょうか。今は気軽に海外旅行には行けませんが、Atmoph Windowでは北村韓屋村の絶景スポットにも訪れることができます。数々のドラマにも登場した北村韓屋村の韓屋の景色を、ご自宅から体感してみるのはいかがですか?

今回紹介した景色はこちら
参考サイト:ソウル市韓国観光公社
参考書籍:『韓国の民家』申栄勲著・2005年発行

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